公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言内容を話し、遺言内容が無効にならな
いように判断してもらいながら作成する遺言書です。自分一人で書く場合より
も内容が明確になり、相続財産も特定されます。裁判所の検認手続きも不要で
す。
ところで、公証人や公証役場とは、普段耳慣れない言葉ですね。
公証人は公務員であり、弁護士や司法書士などのように依頼者の代理で活動す
る立場ではありません。公証人は、判事や検事の経験が長く、法律実務に詳し
い方で、公募に応じた者の中から、法務大臣に任命された人等がなっています
。
公証役場は公正証書を作成する役場で、全国にあります。インターネットで検
索すると最寄りの公証役場がどこかわかるでしょう。
公正証書遺言を作るには、公証人のところに出向いて、遺言したい内容を口述
で話します。病気などで外出できない場合は公証人が出張してくれる場合もあ
ります。遺言者が口述した内容を、公証人は法律的に問題がない文章に仕上げ
てくれますし、第三者の目で客観的に内容を検討できるので、漏れのない内容
の遺言が作成できるでしょう。
公正証書遺言の作成には、2人の証人の立ち合いが必要です。証人は、「20歳
以上」で「遺言者の親族ではなく」遺言者から「財産の贈与を受けた事が無い
、あるいは受ける予定の無い人」でなければなりません。(民法第974条)
信頼できる友人など、ふさわしい人がいない場合には弁護士などの法律家や公
証人に依頼することも可能です。
自筆証書遺言と違って、公正証書遺言の作成には手数料がかかります。費用は
公証人手数料令第9条で定められていて、相続財産の価額に応じて算出されま
す。
また、相続人が複数になる場合は、人数分の手数料が発生するので注意が必要
です。
また、公証役場に行って公正証書遺言をするのが一般的ですが、遺言者が病気
だったり、高齢者で、公証役場に出向けない場合には、公証人が、病院、自宅
、老人ホーム等に赴いて公正証書を作成してくれます。
その場合には、手数料が50%加算されるほか、公証人の日当、現地までの往
復の交通費がかかります。
公正証書遺言を作成する際には以下の書類が必要です。
・遺言者本人の印鑑証明書
・遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本
・財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票
・遺産に不動産が含まれる場合には、登記簿謄本及び固定資産の評価証明など
公正証書遺言の作成には準備が必要なので、予め法律の専門家に相談すると良
いでしょう。