共有持分の「保存行為」とはどんなことですか?
「保存行為」とは、共有物の現状を維持する行為のことで、共有持分のある人が単独でも行える行為です。(民法252条)
不動産における「保存行為」とは、建物の修理修繕や、第三者が無断で土地を使用している場合など、明け渡しを要求する行為などのことです。
相続した実家が空き家になっていて、近隣の人々に迷惑がかかるような場合、例えば、家のブロック塀が倒壊しないように補強したり、庭木が伸び過ぎて電線に接触しそうな場合は枝打ちをしたりする必要があります。
このような保存行為は、共有持分のある人が単独で行うことができます。
共有持分の「保存行為」とは、このケースに当てはめるなら、「遠隔地に住んでいる共有名義人に相談しなくても、近くに住む共有名義人は単独で不動産の修理修繕を行うことができる」ということです。
また、相続した実家に権利を持たない他人が住み着いてしまっていた場合、共有持分がある人は、その人に単独で明け渡しの要求をすることができます。使用していない土地が、知らない間に資材置き場になっていたり、駐車場として利用されている場合なども、単独で明け渡しを要求できます。
これらの明け渡し要求も、保存行為といえます。
相続したものの、誰も使う人がいない空き家や空き地を共有名義で所有している人は、共有持分の「保存行為」を覚えておきましょう。他の名義人に相談しなくても不動産を修理したり、不法に使用されている場合は明け渡しを要求できるのです。
ですが、たとえ保存行為が可能であったとしても、お金や手間のかかる修理や修繕を自分から行うような名義人は少ないかもしれません。
後から他の共有名義人に費用の分担を請求しても、「自分で勝手にやったのだから」と言われかねませんし、逆に、知らないふりをしていたら、「単独でもできるのに、なぜ対処しなかったのか」と責められる場合もあるでしょう。
自分の共有持分は少ないけれど、他の共有名義人は遠方に住んでいて、いざとなったら自分に「保存行為」のお鉢が回ってきそうだと心配な人は、自分の共有持分を売却してしまうのも一つの方法です。例えば、不動産業者などに売却すれば、空き家や空き地の「保存行為」を代わりに引き受けてくれるでしょう。
なお、共有持分は他の名義人に相談しなくても自分の意思だけで売却できます。将来的に活用する見込みのない不動産の共有持分をご所有されている方は、一度当社のような共有持分買い取りを得意とする不動産業者に相談してみることをお勧めします。