【共有持分】夫が遺した賃貸マンション。共有名義の息子に売却されそう!

今回のお話は、ご主人が亡くなって、相続した収益不動産を母親と息子の共有名義で所有していたケースです。「息子がマンションを売ってしまいそうだけれど、私は売りたくないのです!」と丸山さん(仮名)。

結論から言えば、息子さんは所有権全体を勝手に売ることはできません。しかし、自分の共有持分だけを売ることはできるので、共有持分を第三者に売却されてしまう可能性もあります。

所有権全体を売却するときには名義人全員の同意が必要

今までの記事では、共有名義人が多いほど共有不動産の売却が難しくなるというお話をしてきましたが、このケースのように名義人が2人だとしても、意見がまとまらなければ売却はできません。

 

丸山さんは、「夫が私の老後のために残してくれたマンションなので、簡単に手放したくない」と、マンションの売却には強い抵抗感を持っていました。

 

一方、息子は会社勤めのサラリーマンで、自分の本業の傍ら、母親に代わってマンションの大家稼業を引き受けていました。ところが、たまたま借主とのトラブルが重なり、副業として大家の仕事を続けることに嫌気がさしていたようです。

共有持分は自分の持分だけ自由に売却できる

丸山さんがマンションの売却に強い抵抗を示したので、息子さんも困ってしまいました。そして知人に相談したところ、自分の共有持分だけ売却できると知り、自分の持分を不動産業者に売却しようと思い立ちました。

息子さんは、不動産業者に自分の持分を売却して、マンションの管理も引き受けてもらえば良いと思ったのです。

 

共有不動産の自分の持分は、他の共有名義人に相談することなく売却できますから、息子さんが自分の持分を不動産会社に売却するのは自由です。

 

ですが、丸山さんは他人の手に不動産が渡ることにとても抵抗感を持っていました。息子も、母親と揉めることなく問題解決をしたいと考えていたので、なんとか良い方法はないかと司法書士に相談しました。

息子の持分買取でマンションを母親一人の名義に

丸山さんは「夫が遺してくれた不動産は自分が死ぬまで人の手に渡さない」の一点張りです。司法書士のアドバイスを受け、息子さんは自分の持分を母親に買い取ってもらい、名義人を丸山さん一人にする方法を提案しました。そして、今後マンション賃料の一部を不動産管理料にあて、不動産業者に管理を代行してもらうことも提案してみました。

 

丸山さんは、マンションを売却しなくて済み、その上、今までよりも家賃収入が増えるなら、と息子の提案を承諾しました。息子さんも、月々の家賃収入がなくなるものの、まとまった金額が手に入り、大家家業のストレスから解放されてほっとしています。

 

共有持分は他の名義人の承諾がなくても売却できますが、親族間で後々のしこりが残る場合もあるかもしれません。そんな場合は、他の共有名義人に持分を現金で買い取ってもらう方法もあります。

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