【不動産相続】不動産相続のトラブルは資産価値の低い不動産ほど要注意—平成30年度の司法統計から

最高裁判所が刊行する「司法統計」によれば年々「遺産分割事件」は増加し、その内訳を読み解く

と、遺産相続のトラブルの大半は、ごく一般的な家庭で、親が亡くなった後に、「相続財産は親が

住んでいた実家だけ」という2〜4人きょうだいの間に起こっていると想像できます。また、相続不

動産の資産価値が低いほどトラブルになりやすい傾向もあります。

「争族」と言われるほど、血の繋がった一族に禍根を残しかねないのが遺産相続問題です。なかでも、

現金のようにわかりやすく割り切れない不動産の相続は、遺産相続でもトラブルになりがちです。今回

は、最近の不動産相続におけるトラブルの傾向について解説いたします。

年々増える家庭裁判所での相続事件

相続人同士が遺産分割協議などの話し合いで解決できなかった場合、問題解決を第三者に委ね、公正な

判断を仰ぐために、家庭裁判所に「調停」や「審議」として持ち込まれます。最高裁判所が刊行する

「司法統計」からは、年々そのような「遺産分割事件」が増加していることがわかります。

 

司法統計をさらに詳しく見ると、分割事件で揉めている遺産の額は5000万円以内が最多で、相続人の数

は3人がもっとも多く、4人までが全体の半数以上を占めています。この数字から予想できるトラブルの

傾向を解説しましょう。

相続遺産の大半が不動産」のケースが揉めやすい

司法統計によれば、分割事件で揉めている遺産額は5000万円以下が最多です。ですが、1000万円以下の

事件も全体の3分の1近くになりますから、実際のところは1000万円前後の遺産相続でトラブルになっ

ている事件が最も多いのが現実と言えます。

このことから、遺産相続のトラブルの大半は、ごく一般的な家庭で、親が亡くなった後に、「相続財産

は親が住んでいた実家と預貯金が少し」という2〜4人きょうだいの間に起こっていると想像できます。

実際、司法統計から「内容別遺産の価格」を読み解くと、1000万円以下の相続遺産分割事件では、半数

以上が「相続遺産の大半が不動産」というケースです。

資産価値が低い不動産ほどトラブルになりやすい

1000万円前後の相続不動産は、一般的に今後の土地活用の可能性が限定された立地で、資産価値の低い

不動産である場合が多いようです。

相続遺産がこのような資産価値の低い不動産のみで、相続人が複数いる場合、相続不動産を売却して現

金化したいと考えるのが現実的な選択肢でしょう。

先祖伝来の土地へのこだわりや、不動産を残すことが何よりという考え方は、一昔前の価値観で、昨今

では、このような不動産よりも、現金の方が歓迎されるようです。

ですが、その相続不動産に住み続ける人がいる場合や、相続不動産が、借地権であったり、底地に建つ

建物である場合、また、相続不動産に思うような売値がつかずに納得できない場合など、相続人の思惑

や不平等感が募るとトラブルも長引き、結局家庭裁判所に「遺産分割事件」として申し立てるケースも

あるわけです。

相続財産は家しかない場合は現実的な対応を心かげて

遺産相続でトラブルになるのは、大富豪の話、と他人事に思っているとしたら大きな間違いです。統計

からは、むしろ相続遺産が少なく、しかも不動産のみのケースほど、トラブルになりやすいことがわか

ります。

遺産が多ければ、お金で話をつけることもできますが、相続財産が資産価値の低い田舎の実家である場

合など、トラブルを避けるためには現実的な選択を心がけ、ご両親が元気でいるうちに今後のことを家

族で話し合っておくことをお勧めします。

 

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